今日も深爪

爪を切るのが絶望的に下手な1998年生まれ。

「またね」っていう話

 ちょうど高知から帰ってきて1週間、ここに残しておきたいことがあるので、数ヶ月前にFacebookに投稿したものを加筆・修正して残しておきます。珍しく長い記事になりそうなので、ごゆっくりお付合いいただければと。

 

〈 目次 〉

 

 

1. プロローグ

 私は知らない土地で知らない人に話しかけるのが好きで、道に迷ったら時と場合にも寄るけれど、地図アプリで検索するよりも近くにいる人に尋ねたいタイプ。
 だから、バスでたまたま隣に座った人とか、飛行機で隣になった人には積極的に話しかけてしまう。
 バスで隣、とか、飛行機で隣、って思いっきりパーソナルスペースを共有している状況下において、無言で過ごすことに耐えられないのだ。親しい人で、お互いを信頼する関係が出来上がっているならともかく、隣にいるのは知らない人。話しかけないと気持ち悪い、というか、何だかムズムズしてしまう。

 そこで、2月に4泊8日で高知に行ったとき、そして今回の高知滞在において、そのような出逢いがいくつかあって、それぞれたった数十分、数時間の関わりだったけれど、その出逢いで私の旅はかなり彩られたと思っている。ここでは、そんな方々との出逢いについて綴っていこうと思う。

 

2. 江ノ島 / 2月

 2月2日の朝、お金がなかった私は秋田から夜行バスを乗り継いで高知に行くため、中継地点の新宿にいた。新宿に着いた私が真っ先に向かったのは江ノ島
 そこで、浦安市から来たという60代くらいの素敵なご夫婦とお話しをした。
 恋人の丘、龍恋の鐘の前でお会いしたから、「写真撮りましょうか?」って声をかけたら「うーん、いいや。恥ずかしいから(笑)」と。手を繋いで歩いていて、とてもかわいらしい、素敵なご夫婦だった。どんなことを話したのかは、もううろ覚えだけど、どこから来たか、とか、今日は天気がいい、とか、富士山が綺麗、とか、そんなごくごく普通の当たり障りのない話だった。
 ああいうカップルを身近で見たことがないから、てっきりドラマの中だけの幻想だと思っていたのだけど、どうやら実在したみたい。観光地って、そういう素敵なご夫婦が多い気がする。二人で遠出をして観光を、なんて仲の良い夫婦じゃないとできないんだろうけど。観光地には幸せがいっぱいでいいな。ああいう風に一緒に歳を重ねて、一緒になって何年経ってもお互いの手を取って歩けるカップル、とても憧れる。私も将来、結婚できたら旦那さんと鎌倉とか江ノ島とか行きたい。そしてさらに欲を言うなら、結婚する前にも行って、二度目以降に訪れたときに思い出話をしながら歩きたい。
 それから、江ノ島では、小さいお子さんを連れたご夫婦とも少しだけお話しをした。素敵。これからどうなるのかは分からないけど、幸せになってほしい。(余計なお世話)

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3. 吉祥寺 / 2月

 同じく2月2日、午後からお友達と合流して行った吉祥寺。お昼ごはんを食べていなかったから、どこかで適当に食べよう、という話になったのだけど、お互い吉祥寺の土地勘がなかったため、とりあえず井の頭公園と逆方向に進んだ先にある商店街を抜けてすぐの場所にあったピザ屋さんへ。そこのお兄さんがすごく気さくな方で、いろいろとお話してくれた。うろ覚えだけど、アメリカに行きたくてお金を貯めているっていう話をしていた。乗り物酔いがひどくてエコノミークラスで行けないからビジネスクラスで行くんだ、って。「また来ますね」と言ってお店を出た。お兄さんがんばれ。

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4. 高松⇨成田 / 2月

 時間は一気に飛んで、2月7日へ。
 その日の午前中は、高松空港から成田空港までの移動。ジェットスターで手荷物を20kg預けるプランで、高松→成田が7000円くらい。安い。
 私の飛行機の座席は一番窓側を指定していて、私の隣とその隣には、60代くらいのお母様と30代くらいの娘さんという親子。先に述べた通り、飛行機とかバスっていう空間において隣の知らない人と会話を持たないことに耐えられなかったため、お決まりの「どちらからいらしたんですか?」砲を発射。今は香川に住んでいて、数年前に大阪から移住したんだと仰っていた。もう少しそういう話を詳しく訊いておけばよかったと後悔。飛行機から富士山が見えて、富士山すごいね、綺麗ですね、っていう話もした。富士山は偉大である。そのおふたりとは、たまたま成田空港→東京駅のバスでも一緒になって、今度はスカイツリーで盛り上がった。東京駅八重洲口に着いて、「ありがとうございました。お気をつけて!また!」と言って別れた。

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5. 新宿 / 6月

 高知に行く前、東京観光をしようと目指した先は新宿御苑
 馬喰町近くの宿を出て新宿線新宿三丁目駅まで。究極の方向音痴、新宿三丁目駅を出て早々「御苑ってどっちだ?」状態に陥る。地図を見ても分からない。
通りすがりの60代くらいの女性に「御苑ってどっちですか」と尋ねたら「今から私も行くんです」と案内してくれた。歩きながらお話を聞いていたら、その方も秋田出身だそうで。これから秋田から来たお友達に会うんだとお話してくれた。その方は大館(私の住んでいる場所から車で3時間くらいの場所)の出身だと仰っていたけれど、そういう出逢いって何だか嬉しい。

 

6. 池袋 / 6月

 

 高知に行く前に新潟に用事があったので、新宿御苑を訪れてから、新潟行きのバスに乗るべく池袋へ。新潟行きのバスは池袋東口バス乗り場発。無事に自分で予定していた時刻に池袋に着いたはいいものの、大都会池袋、出口しかない駅。
 お昼時、急いでいる人が多くて、なかなか人に道を訊けない雰囲気があるなか、満を持して道を尋ねた女性が「ちょうど通り道なので」とバス乗り場まで案内してくれたのだけど、出てきた出口に消えてった。優しい噓だったのかな。

 

7. 高知市はりまや橋 / 6月

 高知に着いて天気は雨。
 背中にリュック。片手にはキャリーケース、もう片手には鞄。もちろん傘なんて持っていない。空港から駅方面の連絡バスを降りると、5秒でびしょ濡れ。大げさな話ではなく。バスを降りて、路面電車乗り場までの横断歩道で、突然後ろから来た女性に「入りや~!」と傘を差し出される。その女性が乗る電車と私が乗る電車が逆方向だったから、たった数秒の邂逅。それでも嬉しかった。

 

8. 高知市旭町 / 6月

 無事に路面電車に乗り、宿泊先のゲストハウスまで。宿泊先から路面電車の停留所は徒歩2分くらいなのだけど、最寄りの停留所で降りたら、同じ場所で降りた男性に「傘入りますか」と。「さっき乗るときに知らんおばちゃんに傘入れてもらってたでしょう、入ってください、風邪ひいたら大変だし」って。元々高知の方で、今は京都に住んでいるのだけど、身内に不幸があって少しだけ戻ってきたんだと。昔、出張で秋田に来たことがあるっていうお話もしてくれた。

 

9. エピローグ 

 ここに書いたのは、連絡先も交換していなければ、お互いの名前すら知らないまま別れた人たちのこと。「またね」なんて言ったって、向こうはもう私のことを忘れているかもしれないし、私だって次に遇ったときには気付かないかもしれない。そもそも、また巡り合う確率なんて、ほぼ0に近い。それでも、「また」と口にしたくなる出逢いだった。たぶんもう二度と会うことなんてないんだろう、って分かっていても、口にしたら何となく、また会えるような気がして。
 私は日常生活では、忘れものばっかりするし、ベッドに入ってから「炊飯器セットしたっけ?!」と起き上がってしまうくらい記憶力がよくないのだけど、誰かの誕生日とか、出逢った人のことを覚えるのは得意で、今でも、中1のときに一度だけ行った韓国の英語村で会ったあの子たちは元気かな、とか、あのライブで声をかけてくれたお姉さんは元気かな、とか、たまにではあるけど考える。
 おそらく、もう二度と会うことはない人たち。名前も知らないし、顔も思い出せない。街ですれ違っても気づかないんだろうけど、確かに私の中にいて、私を構成する要素の一部になってる。
 身近にいたり、遠くにいても連絡先を知っていたりする人に対する「またね」は一番簡単な〈約束〉だと思うし、その言葉が好きだ。友だちと会って別れるときは「じゃあね」じゃなくて「またね」と言うようにしているし、好きなお店に行ったときも「また来ます」というようにしている。
 でも、それとは違う、叶わないことを前提にした〈祈り〉みたいな「またね」も好き。
 今回の道中で出逢った方々が、私の知らないところで幸せに暮らしてくれていたらいいな、って。あわよくば、またどこかで巡り合えたらいいな、って。
 そんな話でした。

 

 

おまけ

秋田に帰るときに経由した東京でも素敵な出会いを。

 

➡︎ 空路の混雑により、飛行機の離陸が遅れ、必然的に羽田に到着するのも遅れる、というまさかの事態。予定より20分遅れで羽田に到着した飛行機。定刻通りにつくことを当たり前に思い、リプトンの期間限定ショップに行くことを予定していた私。ピンチ。次の日の予定もあったので、ギリギリ間に合う、に賭けて羽田空港を飛び出し、表参道までダッシュ。結果は「ギリギリアウト」。最後尾らしき2人組の女性の後ろには「ここは最後尾ではありません」の看板。諦めきれない私。実質最後尾の女性2人組に「最後尾ってここですか…?」と聞くと「一応ここなんですけど…」との返答。続けて「ここでオーダー切るって言われたんですけど、3人で来たってことにしますか!」と。 ギリギリアウトからのギリギリセーフでなんとかリプトンのフルーツティーにありつけたのでした。